2022年2月28日

太陽光発電の基本

事前に知っておこう!ソーラーパネルの撤去方法と費用について

太陽光発電を取り入れた住居は、もはやスタンダードになりつつあります。電気代を安く抑えられる、災害のときの備えとなるなど、メリットの多い設備です。とはいえ、いずれは撤去するときのことも、考えなければなりません。今回は、ソーラーパネルの撤去方法と費用についてお話しします。

撤去

太陽光発電設備は基本的に「産業廃棄物」として扱われる

太陽光発電設備は、設置した以上、いつか撤去するときがやってきます。撤去するときに気をつけたいのが、設備は「産業廃棄物」の扱いになることです。なぜ産業廃棄物なのか、誰が処理するのか? 不法投棄したらどうなるかについて、説明します。

■太陽光発電設備を構成する物
設備を構成している物を見てみましょう。太陽光パネルは、一般的に「金属くず」「ガラス・コンクリート・陶磁器くず」「廃プラスチック類」の混合物にカテゴライズされます。パネル以外の部品、架台や接続箱などは、粗大ゴミとして処理します。

■パネルには有害物質が含まれている
なぜ太陽光パネルを産業廃棄物として処理するのか、というと、パネルには有害物質が含まれている可能性があるためです。鉛やカドミウム、セレンなどの重金属は、土壌や水、空気に混ざると成分がそこにとどまります。人体にも深刻な悪影響を及ぼす恐れがあり、法律に基づいて処理しなければなりません。

■産業廃棄物の処理は「排出者」
設備を撤去したあと、処理しますが、法律では排出者が処理をすると定められています。「排出者」とは、ゴミを出す人のことです。ですから、「誰が排出者になるのか」というところがポイントです。

太陽光発電の撤去方法

設備の撤去には大きく分けて3つのパターンがあります。撤去方法は、状況によって異なります。

■設備の経年劣化、不具合など
施工会社もしくは販売会社が撤去作業を行います。設備の不具合や故障で撤去する場合は、メーカーが排出者となって処理します。それ以外の場合は、施工会社か販売会社を排出者とします。この状況に当てはまるなら、まずは施工会社、販売会社に連絡を取り、撤去作業を依頼しましょう。転居するときも、同様です。

■住居のリフォームや建て替え
住宅のリフォームや建て替えを行うために太陽光発電の設備を撤去する場合には、解体業者が撤去と排出者を担います。解体業者に依頼してください。

■事故・災害
事故や災害で、「パネルがどうなったか」によって排出者が変わります。破損した、もしくは故障した場合は、施工会社・販売会社へ連絡して依頼します。太陽光パネルが完全に屋根から離れ、地面に落下するなどしたときは、所有者が排出者となって撤去します。この場合、太陽光パネルは一般廃棄物として処理します。自治体によって廃棄の仕方が異なるため、まずは市役所などに連絡しましょう。太陽光パネルは、業者が回収・リサイクルを行っているので、そこに依頼してください。

太陽光パネルを自分で撤去してもよい?

事故や災害によって「自分で処理しなければならなくなった」というときでも、決して太陽光パネルには触れないようにしましょう。壊れているように見えても、電気が通っていることがあります。うかつに触れると、けがをするかもしれません。必ず販売・施工会社に連絡をしましょう。

太陽光発電を撤去する際にかかる費用の目安

撤去作業の費用は、「撤去費用+処分・運搬費用」として計算します。

■撤去費用
人件費・作業費・足場代を合計すると、安くとも20~30万円以上はかかります。一般的に見て、設置したときと同じくらいの費用だと言われています。設備を外したあとも居住するなら、屋根の補修も行います。部分補修なら数万円~30万円、葺き替えならば100万円前後かかると見積もっておきましょう。

■処分・運搬費用
太陽光パネルの枚数によって処分費用は変化します。回収とリサイクルを行う処理業者へ依頼すると、およそ1枚あたり1200円です。ただし、単結晶パネルの重さが18キロ以下の場合に限ります。運搬費用は、処分場までの距離で算出します。

不法投棄するとどうなる?

太陽光発電に取り組む人全体から見ればごく一部ではありますが、ソーラーパネルの撤去費用は高額になりやすいことや、各業者への連絡が手間といった理由で、不法投棄する人は存在します。

■不法投棄は犯罪
不法投棄はそもそも法で定められた方法に沿わずに処分するということですから、立派な犯罪です。判明すれば、懲役5年以下または1000万円以下の罰金、もしくは両方が課せられます。繰り返しますが、パネルに使われている重金属は、環境と人体に悪影響を及ぼします。投棄された土地の所有者も迷惑を被ります。必ず法に則って処分しましょう。

コストダウンの方法はある?

2030年以降から、発電設備の廃棄が増加すると見込まれています。そのタイミングで、今よりも撤去費用は低下するといわれているものの、自分がいつ処分することになるか、具体的にわからない人も多いでしょう。そこで、撤去コストを下げる方法を、4つ紹介します。

■国の制度利用を考える
廃棄のピークに備えて、国は廃棄費用の積み立てを担保するために、施策の検討をしています。現段階では未定ですが、情報をこまめに集めておけば、コストダウンに役立てられるでしょう。また、今後は自治体などでも、自己負担費用を軽減する制度導入の可能性があります。

■太陽光発電の売り上げから積み立てる
発電の売り上げから、撤去費用を積み立てておくのもよいでしょう。売り上げから費用を捻出すれば、かかるコストを下げられる上に、利回りの改善も期待出来ます。

■撤去費用込みの設置業者に依頼する
設備を設置するとき、撤去費用込みの業者への依頼を、検討してみましょう。こうした業者へ依頼した場合、他の業者よりも費用を抑えられるケースが多く見られます。

■リサイクル業者に回収してもらう
リサイクルに出すと、撤去費用と相殺してコスト削減を見込めます。ただし、パネルの種類や状態によっては、引き取りが難しいケースもあります。

太陽光発電設備は、設置してから30~40年ほどは持つといいますが、日本は災害が多く、故障や破損のリスクは常につきまといます。設置したと同時に、撤去費用をどうするかについて、プランを練っておきましょう。